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高森明勅
2021.2.14 06:00その他ニュース

建国記念の日「くにまもり演説大会」

2月11日、第13回「くにまもり演説大会」
(主催、株式会社キャリアコンサルティング)がオンラインで開催された。
私は暫く以前から審査員を仰せつかっている。

タイトルにある“くにまもり”は、狭い意味の国防・安全保障に
限定していない。
広く、わが国を支え発展させる為に、若者として何が出来るか、
何を為すべきか、という広い捉え方だ。

応募者は全て20歳代。
今年の応募者1,542名から、第1~3次にわたる審査を突破した
8名が、本選に臨む。
今回は珍しく男性5名、女性3名で、男性の方が多かった。
私が審査員を拝命して以来、初めて。
男性が圧倒的に多く応募しても、最後まで残るのは女性が多い、
というケースが普通だった。
今回は男性陣が頑張ったようだ。

大阪や名古屋から来た弁士も。
一番若いのは、20歳(はたちの大学生。地方の神社の跡継ぎだ。
その8名の弁士達と我々審査員、運営スタッフだけが会場に集まる。
至ってコンパクトな形での開催だ。
それでも、例年の千人規模の会場を借りるより、
オンラインの方が余計にコストが掛かるとか。
今回、オンラインには1,600名ほどの若者が予約登録
してくれたらしい(参加費、税込み2,200円)。

このような企画に毎年、千数百人もの若者が身銭を切って参加し、
その数がどんどん増えているのは、心強い。

弁士達が取り上げたテーマは実に多彩。
農業の振興策、安全な水の大切さ、難病への取り組み、
高齢者と幼児達との交流、清酒の魅力、祖父の直筆の軍歴証明書、
神社の未来、香港の危機。
それぞれのテーマは、弁士各々(おのおの)にとって、
決して他人事(ひとごと)ではない。
例えば、僅か50人程しか患者がいない難病の治療薬の開発に、
大学院で挑戦し、困難を乗り越えて、見事に成果を出した女性。
患者が少ないと、開発の為の時間と費用に利益が見合わないので、
製薬会社は手を出さない。
だからこそ、大学が乗り出さなければという使命感が、
失敗続きだった彼女を奮起させたという。

或いは、香港で中国の抑圧と戦う人達について訴えた女性は、
母親が香港出身(中国人ではなく、“香港人”という自覚を
持たれているらしい)。
更に、老人ホームに勤務する中で、高齢者と幼児達との触れ合いが、
認知症の改善などに顕著な効果があることを実感した女性は、
独学で保育士の資格を取得して転職。
新しい職場で周囲に働き掛けて、高齢者と幼児の交流の場を
自ら作り上げた。等々。

この大会では、弁論の上手下手(じょうず・へた)だけでなく、
実際の「行動」や「成果」も重視する(勿論〔もちろん〕、
約200倍の難関を突破したメンバーなので、弁論の水準も
それぞれ高いが)。

審査員も多士済々。
チベット出身の大学教授、多数の著書を持つ東洋史学者、
都内の代表的な警察署の署長経験者、大手芸能プロダクションの重役、
若手の保守論客、世界的なミスコンテストの日本事務局の方、等。
皆さん、弁士の熱意に負けない真剣さで、審査に臨まれていた。

「建国をしのび、国を愛する心を養う」祝日に、
このような未来の日本を担うべき“若者が主体”の行事が
行われている意義は、決して小さくないだろう。
全ての関係者に敬意を表したい。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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